料理の香り ~生姜・山椒・山葵・柚子~

味というのは、
甘い、辛い、酸っぱい、苦いなどあって
写真を見せるなどして
そのイメージを説明することもできますが

言葉や写真を使ってでも、使えるのが難しいものは
「香り」ではないかと思っています。

古く大航海時代より肉食が中心だった西洋人にとっては
胡椒をはじめとした香辛料は
肉の臭みを消すためのものでした。

いっぽう、四方を海に囲まれて、また山地の多い日本では
昔から、海、山とも新鮮な材料を入手することができました。

そのため、日本料理で使う香辛料は
臭みを消すというよりも
その料理との相性の良い香りを加えるとにより
味わいと風味を豊かにすることに目的があるように感じます。

また、世界で唯一、魚を生の状態で食するという料理法「刺身」にも
山葵や生姜は欠かせないものです。
日本料理に欠かせない「香りの食材」をあげますと
おもに次のようなものがあります。


①山葵
 山葵と醤油の相性は、刺身料理において絶対的な存在です。
 味、香りはもちろんのこと、抗菌作用を併せ持ち
 日本固有の香辛料のひとつです。

②生姜
 臭みを取り除くだけでなく、漢方薬としての効用も実証されています。

③山椒
 春の訪れを告げるもっとも代表的な香りは
 山椒の木の芽です。木の芽、花山椒、実山椒と
 それぞれの期間はごく短いものではありますが
 タケノコや旬のお料理に際立った存在感を示します。

④柚子
 柚子は、花柚子、実柚子、青柚子と成長し、
 さいご完熟すると黄柚子となります。
 季節は初夏から始まり、初めはさっぱり、すっきりした風味が
 成長とともに濃厚になり、柚子の香りが増してゆきます。


四季折々の食材のおいしさを
さらに引き立てる、こうした「香り」。
「季節料理ます田」では、ひとつひとつの材料と手順を大切に
心を込めて調理いたしております。